2015年12月27日日曜日

今年のスパイ映画の中で『キングスマン』がダントツで好きな理由

日本では9月に公開された映画『キングスマン』

やっとブルーレイ・DVDが発売されましたね。

KINGSMAN / キングスマン ブルーレイ プレミアム・エディション(初回限定版) [Blu-ray]
 


今年はトム・クルーズ主演の大ヒットシリーズ、『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』、『シャーロック・ホームズ』のガイ・リッチー監督最新作の『コードネーム U.N.C.L.E.』、シリーズ24作目となる『007 スペクター』といったスパイ映画祭りでしたが、僕が一番惚れ込んだのはマシュー・ボーン監督、コリン・ファース主演の『キングスマン』でした。

僕が特定の作品を好きになる理由は、娯楽性とメッセージ性のバランスが取れていることです。

その点、ミッション・インポッシブルはいつも通りトム・クルーズが大活躍するので楽しいんですが、「娯楽性:メッセージ性=7:3」くらいで、娯楽性が強すぎるんです。

ガイ・リッチー監督の作品はいつも娯楽性マックス 、『シャーロック・ホームズ』もブラッド・ピット主演の『スナッチ』も大好きな作品ですが、「娯楽性:メッセージ性=10:0」なんです。(0は言い過ぎかもしれませんが、そういう作風なので...)

『007 スペクター』も 「娯楽性:メッセージ性=8:2」くらいでしょうか。
 映画としては星5つ、最高に楽しかったんですが、入れ込むほど好きにはなれませんでした。
前作『007 スカイフォール』はもう少しメッセージ性が強い印象だったんですが、今作はダニエル・クレイグが演じるジェームズ・ボンドの集大成だけあって、娯楽性が強目でした。

そして、『キングスマン』はというと、 「娯楽性:メッセージ性=5:5」で絶妙にバランスが取れているんですね。

ストーリーの中で一貫して語られる、MANNERS MAKETH MAN「マナーが紳士を作る」というモットーは、教える立場にいる僕にはこれ以上ないほどの言葉です。

マナー不足が社会問題にもなってますし、スパイである前に紳士的なキングスマンの振る舞いは、映画を観る前と観た後では、実生活にも影響するほどカッコいいんです。

実際、僕はキングスマンを観てから、より服装に気を使うようになりましたし、マナーについて以前よりも深く考えるようになりました。

日本語で言う「マナー」は歩きタバコをしないとか、電車の中で携帯で話さないとか、人として当たり前のことばかりですが、mannersは「行儀・作法」、もっと高いレベルで振る舞いを良くしていくことなんです。(ちなみにmannersは「作法」ですが単数形mannerは「方法」という意味です)

コリン・ファース演じる主人公、ハリーが語る言葉には「生まれや環境で人生は決まらない。学ぶ意欲さえあれば人は変われる。」という強いメッセージが込められていますね。

スパイ映画としての描き方も、最近のシリアス路線や、単にカッコいいアクションがあるだけでなく、若者の成長物語が主軸になっているので共感できます。

さらに言えば、悪役の女性が義足であることにも意味があり、教会でのシーンで殺されるのが、差別主義者であることにも意味があります。(ブルーレイの特典映像でも監督が語っていますね)

他に僕が好きな映画には『Vフォー・ヴェンデッタ』、『インターステラー』がありますが、Vフォー・ヴェンデッタは近未来の独裁国家が舞台なので、政治について考えることができます。『インターステラー』は環境問題により生活できなくなってしまった地球を抜け出し、別の銀河に居住可能な惑星を探しに行く話で、宇宙に対するパイオニア精神や、実際に起こりうる環境問題が語られています。「家族愛」がテーマになっていることも好きな理由です。

『キングスマン』はヴァイオレンスな描写が多い映画ですが、決してグロテスクではない(多少血はでますが)ので、作品に込められたメッセージを考えつつ、是非楽しんでいただきたいと思います。
 

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