『インターステラー』に登場する理論物理学の知識は映画の中でもある程度説明されますが、事前に知っておくとより楽しめるはずなので、簡単に解説しておきます。
・ブラックホール
・相対性理論
・事象の地平面
・特異点
このあたりがポイントです。
この映画の科学的バックグラウンドは、理論物理学者のキップ・ソーンが製作総指揮として監修しているので、SFですが、リアリティがあり、最新の研究に基づいているところも面白いです。
今回は用語の説明なのでネタバレはほぼありませんが、事前情報を完全にゼロで楽しみたい方は映画をご覧になってから読んでください。
☆ブラックホール(black hole)
「宇宙に浮かんでる黒くて何でも吸い込むもの」というイメージでしょうか。
僕も映画を見るまではブラックホールというだけに「渦を巻いている穴」という印象が強かったのですが、最新の研究だと球状で、土星みたいな輪っかが付いているそうです。
万有引力の法則は有名ですね。
物体はどんなものでも互いに引き合います。地球と太陽も引き合っているし、人間と地球も引き合っています。この引力は質量が大きいほど強くなるので、地球は人間、家、あらゆる物を引きつけています。
この質量が猛烈に大きいのがブラックホールで、光すら引きつけ、吸い込んでしまうので、真っ黒に見えています。結局はめちゃくちゃ重たい天体なので、球状というのも納得です。
☆相対性理論(relativity)
「名前は聞いたことがあるけど中身は...」という人が多いと思います。ざっくり言えば、「時間は伸び縮みする」ということですね。
アインシュタインの名言も有名です。
Put your hand on a hot stove for a minute, and it seems like an hour.
Sit with a pretty girl for an hour, and it seems like a minute.
That's relativity.
ストーブの上に1分間手を置いてみると、それは1時間にも感じられるでしょう。
可愛い女の子と1時間一緒に座っていると、それは1分間にも感じられるでしょう。
それが相対性理論です。
Sit with a pretty girl for an hour, and it seems like a minute.
That's relativity.
Albert Einstein
ストーブの上に1分間手を置いてみると、それは1時間にも感じられるでしょう。
可愛い女の子と1時間一緒に座っていると、それは1分間にも感じられるでしょう。
それが相対性理論です。
アルバート・アインシュタイン
今回、肝になるのは一般相対性理論です。
一般相対性理論によると、強い重力のもとでは時間の流れが遅くなります。
重力が大きすぎて、動きにくくなることをイメージすると分かりやすいです。
漫画でも重力10〜100倍の場所で修行したりする場面がありますが、かなり動きにくいことは想像できますね。
ブラックホールに飛び込んでいく人を遠くから観察すると、
ブラックホールに近づくにつれ重力の影響が大きくなるので、時間の流れが遅くなり、
本人にはわかりませんが、遠くから見ると、あたかも止まっているかのようにゆっくりになります。
逆に、ブラックホールに飛び込んでいく人から遠くにいる人を見ると、ブラックホールの近くでは時間がゆっくり流れ、遠くでは普通に時間が流れているので、遠くにいる人は急速に老けていくことになります。
つまり、ブラックホールの近くに行って、しばらく過ごして戻って来れば、地球では何倍も時間が経つことになるので、結果的に未来に行けるんですよね。夢があります。
(天の川にはたくさんブラックホールがありますが、そこまで行くには5万年以上かかるらしいです...笑)
☆事象の地平面(event horizon)
これはブラックホールの表面のことです。ブラックホールの場合、表面に何か物質があるわけではありませんが、ここでいう表面とは、それ以上入ると光すら出てこれない境界面ということになります。なんとこのevent horizonでは時間が止まります。
シャボン玉をイメージするとわかりやすいかもしれません。
シャボンの膜より中に入ってしまうと何も出てこられなくなるということです。
☆特異点(singularity)
数学、科学の分野では広い意味で使われますが、通常の基準が当てはまらない点のことを特異点と呼びます。今回は事象の地平面の向こう側に存在する特異点、重力が無限大になる点のことを指しています。
ジョニー・デップ主演の『トランセンデンス』でもこの単語は登場しました。
特異点が観測できれば、これまでの常識を覆す大発見となるわけです。
*****
今回参考にした本には特殊相対性理論やタイムトラベルに関するキップ・ソーンのインタビューも書かれていて、とても面白いので、興味がある方は読んでみてください。
『 インターステラー』の原案となったキップ・ソーンの著書も翻訳版は絶版のようですが、アマゾンで購入できます。
僕は原書を買いました。明日届くので楽しみです。
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