2013年11月21日木曜日

『ハリー・ポッター』魔法の英単語 リディクラス "バカ笑い!"

『ハリー・ポッター』魔法の英単語、第3弾はリディクラス "バカ笑い!"です。

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魔法の名前はほとんどがラテン語やギリシャ語から作られていて、英単語もラテン語をはじめとするさまざまな言語を語源としています。
市販の語源の本も最近はイラストが豊富で覚えやすいものがたくさんありますが、
『ハリー・ポッター』を観ている人にとって魔法ほどインパクトがあるものってないんですよね。
せっかくだから利用して単語を増やそう!ってことで連載しております。
①アセンディオ "昇れ!"
②ペトリフィカス・トタルス "石化せよ!"
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リディクラスは『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』、リーマス・ルーピン先生の授業で練習する、形態模写妖怪のボガートを追い払うための呪文です。



リディクラスは英語にも似た単語がありますね。

ridiculous (形容詞)「ばかばかしい、おかしな」です。

発音はリディキュラス。ほぼそのままですよね。

『プラダを着た悪魔』のミランダとアンディが車内で会話しているシーン(1:38:05)で使われています。ミランダがアンディに対して「あなたは私に似てるわ」と言ったあと、アンディが反論しますね。そこでミランダが言うセリフはこんな感じです。

"Don't be ridiculous. Andrea. Everybody wants this. Everybody wants to be us."

さて、ridiculous自体はそれほど難しい単語ではないので、
ここからは上級者・受験生向けに上智大学の問題を使って解説を行います。


問 次の英文の下線部の意味に、もっとも近いものを1~4の中から一つ選びなさい。
It was unnecessary to make fun of your sister in front of everybody. She seemed so embarrassed.
1. amuse          2. fool              3. ridicule           4. entertain
上智


2013年11月18日月曜日

『ハリー・ポッター』魔法の英単語 ペトリフィカス・トタルス "石化せよ!"

連載第2弾目はペトリフィカス・トタルス "石化せよ!"です。

いろんな場面で使われていますが、印象的なのは『ハリー・ポッターと半純血のプリンス』で、列車の中、マルフォイが透明マントをかぶったハリーに対して使うシーンでしょう。



この呪文を受けてハリーは石になります。 (マルフォイ、すごい顔してますね...)


石になって動けません。

この呪文はPetrificus Totalusはpetrify(石化する)とラテン語のtotalis(全体)の合成語です。

今回のメインはpetr-で、これは「石」を意味しています。

petr-(石) + -ify(〜にする)=「石化する」となっています。

この語源を利用して、

petroleum「石油」

petrol「ガソリン」

を覚えましょう。

会話でgasolinと同じ意味でpetrolを使うことはよくあります。

入試で言えば、

In Cyberjaya, petrol-fuelled vehicles will be banned and a low population density will be encouraged.
「サイバージャヤでは、ガソリン車が禁止され、人口密度を下げることが奨励される」
(はこだて未来大学)

といった感じで使われています。


僕が受験生だったころ、よくpetroleum「石油」とcoal「石炭」がごっちゃになってました。
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次の日本分と英文が同じになるように(    )内の英語を並び替えると、1語足りない。その足りない1語を1~4よりひとつ選べ。
石炭は燃料として大部分石油にとって代わられた。


Coal has [to / petroleum / fuel / largely / as / given].


1. substitute        2. place        3. step        4. opportunity

中央大学

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こんな問題が出されると、あれ?どっちがどっちだっけ?ってなってました。

ただ、

petroleumを分解してみると、

petrは「石」でoleumoilと似てます。つまり「油」なんですよね。

petrolも同じようにolをoilと同じだと判断しておけば間違いません。


ちなみにcoal「石炭」の方はchacoalと関連づけると覚えやすいです。

チャコールグレーは墨色、つまり「炭」です。

chacoalは「木炭 」ですね。

エネルギー問題は入試でもテーマになりやすいので、石油、石炭ははっきり区別できるように覚えときましょう。


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ここからは余談ですが、バチカン市国にあるサン・ピエトロ大聖堂も石に関係しています。


サン・ピエトロ大聖堂のピエトロはペトロをイタリア語読みしたものです。

ペトロはキリストの使徒の一人で、サン・ピエトロ大聖堂はペトロの墓の上に建てられました。

ペトロの本名はSimon(シモン)でしたが、イエス・キリストに「お前は石である。その上に私の教会を建てる」 と言われたことに由来して「石」を意味するペトロというあだ名が定着したようです。

映画『ダヴィンチ・コード』の続編、『天使と悪魔』バチカンを舞台にしているので、映画を観るとサン・ピエトロ大聖堂の様子がよくわかるはずです。
ローマ教皇を選出するコンクラーヴェもしっかり描かれているので面白いですよ。


サン・ピエトロ大聖堂には行ったことがあるんですが、入るのにめちゃくちゃ並びます。



写真の奥の方までズラーーーっと並んでるの、伝わりますかね。

この時はほとんど何の知識も無く勢いで行ってしまったので、
「なんか分からんが、すげえな」って感じでした。笑

今はキリスト教関連の本もたくさん読んでるので、
次に行くときには見え方が全然違うはずです。

知識や知恵が増えると世界の見え方が変わるんですよね。

次はいつ行けるかなあ。。



では、今日はこのへんで!

次は『アズカバンの囚人』に登場するリディクラス!にします。





2013年11月15日金曜日

『ハリー・ポッター』魔法の英単語 アセンディオ "昇れ!"


ハリー・ポッターシリーズの魔法の名前はほとんどがラテン語からギリシャ語から作られたもので、中には英単語を覚える時に役に立つものがあります。

ハリー・ポッターが好きな方にとっては魔法を唱えるシーンはかなり強い印象が残っているはずですよね。

魔法のインパクトを利用して単語を増やしましょう。

今日は『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』より、

"アセンディオ!"を紹介します。

記事後半にいくに連れてレベルを上げてますので、上級者の方もお楽しみに。


2013年11月6日水曜日

『Vフォー・ヴェンデッタ』2013 その5 "Penny for the Guy."


『Vフォー・ヴェンデッタ』に捧ぐ連続更新、最終夜!

今日は説明がなければ分かりづらい3つの表現を紹介します。

① Johnny-on-the-spot (24:43)
② The Ghost of Christmas Past (34:44)
③ Penny for the Guy (1:52:26)


2013年11月4日月曜日

『Vフォー・ヴェンデッタ』2013 その4 "ダンスのない革命など革命に値しない"



さて、Vフォー・ヴェンデッタに捧ぐ連続更新、第4夜です。

今日はダンスシーンの名言をとりあげます。

Vの思想がよくあらわれた人気の高いセリフです。


では、直前のやりとりから見ていきましょう。


※ネタバレあります

2013年11月3日日曜日

『Vフォー・ヴェンデッタ』2013 その3 フィンガーマンって何?



Vフォー・ヴェンデッタに捧ぐ5夜連続更新、第3夜です...!

今日は秘密警察、フィンガーマンの名前の由来と、

twitterで質問をしていただいたので、シャドー・ギャラリーに初めてイヴィーが来たときの台詞について解説します!

では...!

まずフィンガーマンについてです。

『Vフォー・ヴェンデッタ』の舞台となっている第3次世界大戦後のイングランドでは全体主義、いわゆるナチスドイツのような独裁政治が行われています。

そして施行されている新しい法律(the New Order)に基づいて作られた機関は

人間の身体に基づいて作られています。








では1つ1つ見ていきましょう。

① the Head 頭



これは議長であるアダム・サトラーを指します。

原作での名前はアダム・スーザンです。ヒトラーに近い名前にして連想させやすくしているんでしょう。


② the Mouth 口




人間の口にあたる機関がテレビ放送局のBTNです。

情報操作を行っている描写がたくさんでてきますよね。


③ the Eye, the Ear 目、耳






テレビの放送や街に設置されたスピーカーでの放送を管理、監視しているのが、目と耳にあたります。

Vがテレビ局を乗っ取ったときは、 目、口、耳を占拠したことになりますね。


③ the Nose 鼻




鼻は「においを嗅いで何か調べる」イメージが強いので、何かを調べる機関、諜報機関になります。

アメリカのCIA、イギリスのMI6に近いイメージです。

フィンチが所属しているのもthe Nose、国民の会話を盗聴する機関でもあります。



 ちなみに日本語で言う「首をつっこむ」は英語で言うと、

stick one's nose in ~ となります。

stickは「突き刺す」でしたよね。「鼻をつっこむ」となり、嗅ぎ回っているイメージとマッチします。


④ the Hand 手



これもCIAやMI6に近い機関です。

クリーディーがそのトップにいます。

原作では初めはアルモンドという人物が取り仕切っています。


⑤ the Fingermen 指





クリーディーがthe Handであったことからお気づきの人もいるでしょう。

the Hand直属の秘密警察だから、finger「指」という単語が使われているんですね。

クリーディーもフィンガーマンも機関として腐敗してますよね。


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ここからはシャドー・ギャラリーでのワンシーンを解説します。




初めてイヴィーがここに来た時、美術品をどうやって手に入れたのか訊ねるシーン(27:00あたり)があります。

twitterでこのシーンについて質問をいただいたので解説します...!




"Where did you get all this stuff?"

これに対するVの返答が、




"Oh, here and there. 
 Much of it from the vaults of the Ministry of Objectionable Materials."

here and thereは省略されてますね。「あちこちさ」と言っています。




"You stole them?"

盗んだの?と訊かれてVが答えるのが問題の台詞です。





"Oh, heavens no.
Stealing implies ownership." 

これもシンプルでいい台詞です。

implyは「〜を暗に意味する」「含意する」という意味ですが、involveと似ていますね。

「盗むというのは暗に所有者がいることを意味する」としてもいいですが、

ここではimplyを「必要とする」としておくと分かりやすいです。辞書にもこの意味で載ってます。

「盗むというのは、所有者を必要とする」

「持ち主がいなければ盗めない」ということですね。





"You can't steal from the censor.
 I merely reclaimed them."

the censorは検閲機関のことなので、the Noseのことでしょう。

主語になっているyouはイヴィーのことを言っているわけではなく、

一般的に検閲機関からは盗めないと言っています。

youが一般人を指すことも頭に入れておきましょう。


Stealing implies ownership.の意味と合わせると、


「検閲機関(禁制品取締局)にあるものには所有者がいないので、

持ち主がいないものを持ち帰っても盗みとは言えない」

ということですね。


merelyはonlyと同じ意味。

reclaimは「反対を主張する」→「返還を要求する」でいいですね。

claimは「主張する」という意味しかありませんが、

reclaimになると日本語の「クレームをつける」に近くなります。




今日はここで終わりです。

明日はVの台詞の中でも人気が高いダンスシーンの名言を掘り下げます!

お楽しみに!

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twitterで質問をしていただいた方、
いい質問をどうもありがとうございました。

リアクションが少ないブログでの更新で、
感想や質問をいただけのはとても嬉しいです。
質問があった方がいい記事にできると思うので今後もよろしくお願いします。

2013年11月2日土曜日

『Vフォー・ヴェンデッタ』2013 その2 原作コミックとの相違



Vフォー・ヴェンデッタに捧ぐ5夜連続更新 第2夜です。

昨日は自己紹介シーンを長ーく解説したので今日と明日はシンプルに映画の話だけです。

原作コミックを読む機会はあまりないと思うので、

原作と映画の相違点を紹介しますね。

では!

※ネタバレあります

『Vフォー・ヴェンデッタ』2013 その1 自己紹介スピーチ

 
"Remember, remember the fifth of November
Gunpowder, treason and plot
I see no reason why gunpowder treason
Should ever be forgot"



...さて!

Vフォー・ヴェンデッタに捧ぐ5夜連続更新、第1夜です...!

第1夜ということで物序盤のVの自己紹介シーンを掘り下げていきます。

まずは動画と台詞を載せておきます。

青字はプチ解説です。大事なところは赤で。





2013年11月1日金曜日

『Vフォー・ヴェンデッタ』過去記事まとめ 2011-2012


さて、11月になりました。

昨年同様、『Vフォー・ヴェンデッタ』関連の記事を5夜連続でお届けします。

今夜から開始する予定ですが、

その前に過去の記事をまとめておきますので、

よければ興味がわく所から読んでみて下さい。


① V for Vendetta
2011年に書いた記事。Vの自己紹介スピーチを載せてます。ただ本当に載せてるだけです... 今年はこのあたりをもっと掘り下げていきます。トリビア的になりそう...

②  Vフォー・ヴェンデッタ その1
ここからは2012年に書いた記事。最初に屋上に上がったシーンのセリフを紹介しています。

③  Vフォー・ヴェンデッタ その1 補足
その1の記事のセリフをやや深めに解説してます。文法事項にも触れてます。

④  Vフォー・ヴェンデッタ その2
Vがイヴィーに朝食を作るシーン。シェイクスピアのマクベスの引用について触れてます。

⑤  Vフォー・ヴェンデッタ その3
一番アクセス数が多い記事です。Vとイヴィーのダンスのシーン。シェイクスピアの十二夜の引用について触れてます。

⑥ Vフォー・ヴェンデッタ その4
僕としては一番読んでほしい記事かも。Vの好きな映画『巌窟王』についてふれてます。さらにラストシーン付近の「私は怪物なのだ」と訳される"I have no tree waiting for me."というセリフの解説をしています。英語と日本語字幕のギャップが感じられるシーンです。

⑦ Vフォー・ヴェンデッタ その5
シェイクスピアの引用シーンのまとめ、Vのスピーチの紹介をしています。
1. 登場シーン マクベス 第1幕 第2場
2. 登場シーン ハムレット 第3幕 第1場
3. 司祭への復習 リチャード三世 第1幕 第3場
4. 朝食シーン マクベス 第1幕 第7場   その2で解説
5. ダンスシーン 十二夜 第1幕 第2場     その3で解説

スピーチにももっと詳しく解説したいセリフがあるので、

今年はトリビアと名台詞が中心になりそうです。


解説してほしいシーンがあれば
twitter @ShuheiOkazaki
facebook shuhei.okazaki へ
もしくはメールでリクエストしてください。

できるかぎり応えます。できなかったらごめんなさい。。。