「ダークナイト」の誤訳を2点取りあげます。
ストーリーを分かりやすくするため、意図的に訳を変えているのかもしれませんが、
この訳次第で伏線やストーリーの捉え方が変わってしまうと思うので紹介しておきます。
*ネタバレあります。
一点目。
「21世紀最大の誤訳」
(って誰かが言っているのを聞いたような。。
それくらい重要なシーンです。)
ジョーカーがハーヴィーと話すシーンですが、なんとなく繋がりがおかしいですよね。
恐怖が混乱を引き起こすと言った後、
ハーヴィーがコインで殺すか殺さないか決めているのに、
ジョーカーは全く恐れていません。
英語を聞くと以下のようになっています。
It's fair.
混沌について知っているか?
公平なんだよ
日本語字幕では「fear」とされて「恐怖」と訳されています。
ここが21世紀最大の誤訳と言われている箇所。
公平だからハーヴィーは生死をコインに賭けていると考えると納得いきますよね。
「面白い」と訳されているジョーカーのセリフも本来は
Now we're talking.
と言っています。
コインで公平に生死を決めようとしているハーヴィーに対して、
「そういうことだ」と言っているんですね。
混沌=公平の概念はこのあとのハーヴィーの行動にも繋がってきます。
2点目。
トゥーフェイスという名前の伏線です。
1点目はよく取りあげられていますが、
これは取りあげられていないので紹介しておきます。
ハーヴィーとゴードンが話すシーンです。
これが英語を聞くと、
I heard they have a different name for me ~
「現場では悪名も高いらしいな」と訳されているので、
a different nameが「悪名」と訳されてしまっています。
ハーヴィーはゴードンの言う「光の騎士(white knight)」に対して、
「別の呼び名があるのも知っているぞ」
と言っているんですね。
この伏線を受けて、病院で会話するシーンで
「トゥー・フェイス」という呼び名であったことに繋がっていきます。
今回取りあげたのは2点ですが、
「バットマン・ビギンズ」や他の映画の中にも気になる点は多々あります。
英語で聞かないと作品の意図がブレてしまうのは悲しいことです。
日本語字幕に限界があるのはわかりますが、
その限界をどうすれば引き延ばせるか、
今後の課題の1つにしていきます。
なるほど、そういうことだったんですね。
返信削除最近になってダークナイトを観る機会があり、このシーンを観た時に"Now we're talking"が聞き取れたのですがそれまでは字幕を追っていたため前後の文脈が繋がらず不思議に思って検索したところこのページにたどり着きました。
分かりやすい解説ありがとうございます。