2012年1月29日日曜日

STEADY AS SHE GOES

映画「パイレーツ・オブ・カリブアン/生命の泉」のペネロペ・クルスのセリフがかっこいいので取りあげます。

美人の女船長が言っている"Steady, as she goes!"というセリフです。

Youtubeで予告編を見つけたので、53秒のあたりをご覧ください。



日本語字幕でなんと訳されていたかは覚えていませんが、

訳としては「進路を保て!」となります。

今日はなぜこのように訳されるのか説明します。


① steady

まず、steadyは「固定している状態」を表す形容詞で、間投詞(Helloなどの呼びかける言葉)としても用いられます。

「位置について(Ready)、用意(Steady)、ドン(Go)!」
の「用意」の部分にも同様に使われています。

要は「(身体を)しっかり固定しろ」ということですね。

「パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉」のワンシーンではもちろん船に乗っているので、何を固定するのかと言うと、
"舵を"しっかり固定しろ」ということになります。


② she

代名詞のsheは船や車、国名を受けることができます。
諸説ありますが、一般的に、船や車は男が愛するもの、国は男が動かすもの、と考えられているため女性の代名詞であるsheが用いられます。
※やや差別的であるため最近は普通にitが使われるそうです。


③ as

 続いてasの説明です。

asは「郷に入りては郷に従え」ということわざで知られる、
"When in Rome, do as Romans do."  
直訳→「ローマでは、ローマ人がするのと同じようにせよ。」

という文章中で用いられているasと同じ働きをします。

asは用法がたくさんありますが、今回のasは「同様に」と訳される様態のasになります。

たくさん用法があるasですが、ちゃんと目印があるので心配しなくても大丈夫です。

今回の様態のasの目印は、「言わなくても分かること」です。

*受験生向け
今回は会話文なので出てきませんが、英文中になると
1. 表現の反復 ←繰り返し言うことは言わなくても分かりますよね。
2. 代動詞(do,does,did) ←既出の動詞の代わりに用いられるdoなども言わなくても分かります。
3. 省略 ←言わなくても分かるから省略されています。
がas以下にあることが様態のasの目印になります。

 "Steady, as she goes!" というセリフでは、sheは船のことを示し、goesが船が進んでいることを示しています。
このセリフを口にする時にはもちろん進んでいる船の上にいますから、
as以下は言わなくても分かることになります。


以上をまとめると、
「船が進んでいるのと同じように進むように、舵をしっかり固定しろ!」
つまり
「進路を保て!」ということになります。




余談ですが、"Steady, as she goes!" は日本語の航海用語で「ようそろ」と言うそうです。
「宜候(よろしくそうろう)」が変化したものだそうで、日本語の「よろしく」がこのように使われているのも興味深いなと思います。
 "Steady, as she goes!"は「船が進んでる」ということまで言わないと伝わりませんが、
日本語は「よろしく」だけで通じちゃうんです。

日本語の「言わなくても伝わる文化」って素敵です。

有名な話だそうですが、かつて夏目漱石は"I love you."を「今夜は月が綺麗ですね。」と訳したそうです。
現代っ子からすると「そんなんじゃ伝わらないよ!」って思われちゃいそうですど、
こういう文化の違いを感じられると英語やっててよかったなあと思います。
単純に、好奇心がそそられますよね。

時々、日本語専攻の外国人と接することがあるのですが、
彼らも日本語のこういうところに魅力を感じてるんじゃないかなと思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿